薬について

3.腎移植の薬

 

免疫抑制療法
移植した腎臓がうまく生着する為には、 2 つの問題を解決する必要があります。それは、「拒絶反応」と「薬の副作用」です。
お互いは以下のような関係にあります

 

免疫抑制剤の量 拒絶反応 薬の副作用

たくさん使う
(免疫抑制効果が強い)

 

少なく使う
(免疫抑制効果は弱い)

起こりにくい

 

 

起こりやすい

副作用が出やすい

 

 

副作用がでにくい

 

 

※免疫抑制剤の量は多い、少ない、どちらがよいというわけではありません。 拒絶反応が起こりにくくて、 副作用が出にくい適切な免疫抑制剤の量を服薬していくことが大切です。

 

※拒絶反応は、 約 10%の頻度で発症します。 そのため、 いかに拒絶反応を抑えるかが大きなポイントとなります。

 

※拒絶反応が起こりやすい時期(移植後3ヶ月ぐらい)は免疫抑制剤を多く使用し、それ以降は副作用を防ぐ為に、できる限り減量していきます。

 

※薬の効果や副作用の出かたは個人によりかなり差があるため、投与量は医師が血中濃度を測定し調節しています。

 

拒絶反応が他人に起きたからといって、 自分にも起きるとは限りません。
心配なこと ・気付いたことがあったら遠慮なく申し出て下さい。


薬剤紹介

免疫抑制剤について(私用する薬剤>

 

カルシニューリン阻害剤 ステロイド剤

代謝拮抗剤

 

その他

ネオーラル
プログラフ
グラセプター

プレドニゾロン

セルセプと
プレディニン

 

サーティカン

 

 

★上記の3つのグループから、1剤ずつ3〜4剤を組み合わせて使用します。

 

以下に詳しく説明します。


免疫抑制剤

カルシニューリン阻害剤

 

@ネオーラル
(剤型:10mg、25mg、50mg)

 

Aプログラフ
(剤型:0.2mg細粒、0.5mg、1mg)

 

Bグラセプター
(剤型:0.5mg、1mgカプセル)

 

・ ネオーラル、 プログラフは1 日 2回、 食事と関係なく時間を決めて12時間ごとに内服します。(入院中は7時と19時)
・ グラセプターは1 日 1 回、 食事と関係なく時間を決めて24時間ごとに内服します。(入院中は7時)
・ 採血をして薬の血液中の濃度 (血中濃度) を測定し、 濃度によって1回の内服量を調節していきます。

 

く副作用>
・腎機能障害(クレアチニン値が上がることがあります)
・感染症(サイトメガロウイルス、ヘルベスウイルスなど)
・高血圧(降圧剤を使って血圧を維持します)
・高血糖(血糖値のバランスがくずれることがあります)
・高脂血症(食事コントロールまたはお薬を内服することがあります)
・ネオーラル:多毛(特に体毛が濃くなることがあります)
・プログラフ・グラセプター:脱毛など

 

ネオーラルとプログラフにおける副作用の比較
(あとで)

 

 

<注意>
・決められた時間通りに決められた量を服用することが大切です。(血中濃度を一定に保つことが拒絶反応を抑えるために必要です)

 

・うがい、 手滉いなどいつも清潔にして下さい。

 

・他の薬を組み合わせることで、 カルシニューリン阻害剤の効果が強くなったり、弱くなったりすることなど、 飲み合わせが悪い薬が多いです。移植医の指示以外の薬を服用するときには、 服用する前に必ず移植医に相談して下さい。

 

・グレープフルーツおよびグレープフルーツジュースを含む加工品は控えて下さい。 (効果を高めることがあります)

 

・セイヨウォトギリソウ含有食品 (セント ・ ジョーンズ・ ワート) は摂取不可です。(効果を下げることがあります)


 

ステロイド剤
プレドニゾロン
(剤型:1mg、5mg錠)

 

・1日1回、朝食後に内服します。
・投与量の調節は採血結果に関わらず、予定通りに行います

 

く副作用>
・糖尿病
※特に、糖尿病で内服治療中の方はインスリン治療が必須となる可能性が高く、 境界型糖尿病の方も糖尿病薬内服や場合によ。てはインスリン治療が必要となることがあります。 すでにインスリン治療中の方は、 イスリン単位数が増加します。

 

・ステロイド性胃潰瘍 (胃薬で予防します)

 

・肥満 (お腹がすくので、 食べ過ぎると太りやすくなります)

 

・感染症 (うがい、手洗いなど清潔を心がける必要があります)

 

・無腐性骨壊死 (負担のかかる足の付け根の骨がもろくなる)

 

・ニキビ・ムーンフェイス (顔が丸くなることがあります) など

 

 

<注意>
・過食に注意して下さい。
・急に服用を中止するとを倦怠感、 関節痛などが出現した り 、さらにショックなどの危険な状態になることがあるので、必ず医師の指示どおりに服用して下さい。


 

代謝拮抗薬

 

@セルセプト
(剤型:250mgカプセル)

 

く副作用>
下痢、消化器症状、骨抑制(感染症にかかりやすくなる)などく

 

 

<注意>
下痢が続いたら、医師に相談して下さい。


 

 

Aプレディニン
(剤型:25mg、50mg錠)

 

く副作用>
 尿酸値の上昇、 骨髄抑制(感染症にかかりやすくなる) など

 

 

<注意>
・ セルセプト、 ブレディニンは1 日 2回、 食事と関係なく時間を決めて 12時間ごとに内服します。(入院中は7時と19時)
・ カルシニューリ ン阻害剤と一緒に内服していただいて構いません。
・ 採血をして薬の血液中の濃度 (血中濃度) を測定し、 濃度によって1回の内服量を調節していきます。


 

その他
サーティカン

 

・1日2回、食事と関係なく時間を決めて12時間ごとに内服します。
(入院中は7時と19時)

 

・血中濃度を測定し、濃度によって1回の内服量を調節していきます。

 

く副作用>
 高脂血症、高コレステロール血症、鼻咽頭炎、発熱、高血圧、耐糖能異常、ロ内炎など

 

 

く注意>
 口内炎ができないよう予防します。口内炎ができてしまったら軟膏やうがい薬で対策できますので、早めに相談してください。


 

 

 

 

胃薬

ファモチジン(先発品名称:がスター)orラズプラゾール(先発品名称:パリエット)

 

(剤型:ファモチジン:散剤or錠剤、ラベプラゾール:錠剤)

 

<作用>
 遺産の出すぎを抑えて、ステロイドあるいはストレスによる胃潰瘍を予防します。

 

<服用量>
 1日1回 朝食後

抗生物質

ダイフェン
(先発品名称:バクタ)

 

(剤型:ダイフェン錠)

 

く作 用>移植後の感染症(カリニ肺炎)を予防します。

 

<服用量> 1日1回1錠(朝食後)を週に2 〜3回 (約 1 年間服用)

 

く副作用>腎機能障害、貧血など

 

くその他>週2〜3回の内服で予防効果があります。

 

 

免疫抑制剤の飲み方について

 

ネオーラル、プログラフ、セルセプトは・・
入院中は、1日2回7時- 19時での服用となりますが、退院後は生活のリズムに合わせて12時間間隔であれば何時でも構いません。
12時間間隔での服用が理想的ですが、少々時間がずれても、1日2回服用することが大切です。

 

基本的には、気が付いたときにすぐに服用しましよう。
しかし、ネオーラル・プログラフ-セルセプトは予定の時間から 6時間以上経過した場合には、忘れた分は服用せず、次回分からしっかり服用して下さい。グラセプターの場合は、予定の時間から12 時間以上経過した場合には、忘れた分は服用せず翌日分からしっかり服用して下さい。

 

☆どちらも2回分をまとめて服用してはいけません !


 

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